中野翔太(ピアノ)
ポール・ワトキンス(指揮) ※
東京都交響楽団 ※
シューマン:
ピアノ協奏曲 イ短調 作品54※
幻想曲 ハ長調 作品17
アラベスク ハ長調 作品18
トロイメライ 作品15-7
豊かな表現力と聡明な解釈、そして強いエネルギーを演奏に感じさせる中野翔太。初めてオーケストラ共演したのが小澤征爾&サイトウキネンオーケストラ、その後ロストロポーヴィチ、シャルル・デュトワ、レナード・スラトキン、大植英次、ウィーン・フィル、NHK交響楽団・・・と、数多くの著名演奏家、オーケストラとの共演を重ねてきた新進気鋭ピアニストによる待望のデビュー・アルバムです。
シューマンのピアノ協奏曲からソロ曲まで・・・幻想曲、アラベスク、トロイメライなどの珠玉の名曲を盛り込み、繊細な感性で彩とりどりの音色の妙を見せながら、持ち前の聡明なピアニズムでシューマンの真髄を弾き込んでゆきます。抜群の機能美が 冴える東京都交響楽団によるサポートも聴きごたえ十分。
また当CDのライナーノートでは作曲家の池辺晋一郎氏による中野翔太の演奏に寄せる文章も掲載。
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■彼が無限の才能を持った若者であることは、非常に明白なことです。そしてすべての音楽愛好家にとって、すばらしい未来が訪れることを確信しています。
レナード・スラトキン(デトロイト交響楽団 音楽監督)
■彼は、ヴィルトゥオーゾであり、詩人であり、そして情熱的なドラマティストの面を兼ね備えています。私は、彼が偉大な芸術家になるであろうことを予言します。
ベーダ・カプリンスキー(ジュリアード音楽院ピアノ科主任教授)
■天才と一言では片付けられないほどに驚かされた。・・・シューマンの“アベック変奏曲”は、繊細で微妙に色付けされており、ファンタジーに溢れていた。・・・そしてリストの“ラ・カンパネラ”は、細密な音で綴った一編の詩のごとく演奏してみせたのである。
ボルティモア・サン紙
■サイトウ・キネン・フェスティバルのなかで、中野翔太君が小澤征爾のお誕生日を祝うコンサートに、ソリストとして抜擢され、ショパンのピアノ協奏曲第1番の2・3楽章をロストロポーヴィッチの指揮で演奏した時のことである。このオーケストラのトップメンバーは、選りすぐりの優れた音楽家たちだが、翔太君の演奏を聴いたとき、初めてポリーニを聴いた時とまったく同質の、背中がゾクゾクするようなショックを受けたと言う。
・・・彼は、みずみずしい感性とすぐれたテクニックの持ち主で、さらに曲の全体像を俯瞰する力は並々ならないものがある。・・・強い集中力で、新鮮で邪念のない、真摯な音楽を創り出していくのだが、その表現は少年のものとは思えないほど、時には劇的でスケールが大きく、聴くものを感動させる。それは教わった音楽ではなく、彼自身のなかから溢れ出てくるものであり、まさに「演奏するために生まれてきた」としか言い表しようがない。
江戸京子
録音:2008年6月17日 サントリーホールにてライヴ収録
2009年4月4、5日 小美玉市四季文化館「みの?れ」にて収録